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ビジネスの現場では、“契約書を作成していること”が一つの安心材料になると考えている方も多いかと思います。しかし、実際にトラブルが発生した時のことを考えると、「この契約書で本当に自社を守れるのか」と不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
契約書は単なる形式ではなく、トラブルを未然に防ぎ、万が一の紛争時にも自社を守るための重要なツールです。本記事では、契約書が本当に役立つために必要なルールや運用、文書管理の方法、そして専門家によるチェックの重要性について、実際のトラブル事例も交えながら解説します。
吉野モア法律事務所 代表
京都大学法科大学院卒業 大阪弁護士会所属。
2022年に吉野モア法律事務所を開所し、コンプライアンス問題や外国人労働者等の労災・労務問題、事業リスク・事業開発に伴う法的アドバイス等を実施。
直近は「トラブルが起こる前に備える」企業法務を目指し、組織づくりや次世代経営者育成なども手掛けている。
契約書がない、または内容が不十分な場合、取引先との認識のズレや口頭での約束が原因でトラブルに発展するケースが後を絶ちません。
例えば、取引先との間で業務委託契約を締結したものの「委託範囲はどこまでなのか」「これは業務の範囲に含まれるのか」が曖昧なまま取引を開始してしまったところ、後に「業務の範囲に含まれると言った・言わない」の争いとなってしまった結果、業務が停止してしまったケースも少なくありません。
また、契約書を作成せずにシステム開発を請け負った後、トラブルにより途中で終了した事例で、終了までの工数に応じた請求を行ったものの、裁判で契約の成立や内容が証明できず、請求が認められなかった事例もあります。
このように、契約書がなかったり、作成していたとしても内容が不十分だったりすると、たとえ実際に取引が行われていても、後から自分の主張を証明することが極めて困難になるのです。
契約書には、以下のような最低限盛り込んでおくべき項目があります。
これらが抜けていると、後に「どのような内容の契約であったか」「どちらがどこまで責任を負うのか」といった点で争いが生じやすくなります。
契約書は、トラブル発生時に「何をどう約束したか」を証明するための最も重要な証拠となります。特に署名や押印のある原本は証拠力が高く、電子契約の場合も改ざん防止措置が講じられていれば有効です。
また、契約内容に関するやり取り(メールや議事録など)も補足資料として大切に保管しましょう。
そして、正式な契約書に盛り込まれていない合意事項は、後の裁判で認められない場合もあるため、重要な条件は必ず契約書に明記することが大切です。
これまで述べたように、契約書はトラブル発生時の重要な証拠となるため、作成後も適切に管理し、必要な期間保存することが求められます。
また、契約締結日や更新日を管理台帳で記録しておくことも重要です。
契約書は一度作成したら終わりではありません。法改正や業界のルール変更、取引条件の変更があった場合には、その都度見直しが必要です。また、定期的に契約書の内容と実際の運用に齟齬がないかチェックし、必要に応じて改訂・再締結しましょう。
契約期間が自動更新となっている場合も、更新のタイミングで内容を再確認し、法的なリスクがないかを点検することが大切です。
インターネット上のテンプレートや過去の契約書をそのまま流用すると、自社の取引の実態や最新の法令に合わない条項が含まれていたり、必要な項目が抜けていたりすることがあります。
また、業界特有の慣習や相手方の要求に対応できていない内容だと、後に思わぬリスクを抱えることもあります。テンプレートはあくまで参考とし、必ず自社の実情に合わせてカスタマイズする必要があります。
契約書の作成やチェックは、専門家である弁護士に依頼することで、法的な有効性やリスクの洗い出しが可能となります。弁護士は、条項の不備や抜け漏れ、将来的な紛争リスクを指摘し、必要な修正案を提示してくれます。
また、国際取引や複雑な契約の場合は、準拠法や紛争解決手段(裁判所・仲裁など)の選定も含めて、最適な内容に仕上げてもらうことができます。
弁護士によるレビューを経た契約書は、万一のトラブル発生時におけるリスクの見通しも高まり、安心して取引を進めることができます。
契約書は「作成して終わり」ではなく、内容の精査・運用・管理まで一体となって初めて“役に立つ契約書”となります。まずは現行の契約書を「紛争予防」「実務整合性」の観点で点検し、不安な点があれば専門家のアドバイスを受けましょう。
契約書の見直しや運用ルールの整備、文書管理体制の強化を進めることで、トラブルを未然に防ぎ、万が一の紛争時にも自社を守ることが出来ます。取引先との信頼関係を守り、安心してビジネスを進めるためにも、契約書の重要性を再認識し、適切な対応を心がけてください。
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